TESOLは”Teaching English to Speakers of Other Languages”の略で、英語を母国語としない人に英語を教える教授法のことをいいます。TESOLの資格を取得すれば、ネイティブスピーカーでなくとも英語を教えることが可能です。
TESOLは海外の様々な教育機関で履修できます。TESOLの学位には博士、修士、学士、ディプロマ、サーティフィケート(プログラム修了証明書)があります。専門カレッジや語学学校では4-8週間のディプロマプログラムやサーティフィケートプログラムの履修が可能で、比較的短期間で受講できるのが特徴です。
ここでは特に、12歳以下の児童(非ネイティブスピーカー)に英語を教えることのできる主なTESOLのプログラムについてご案内します。
受講資格
中級程度の英語力が求められ、プログラム申込時には筆記テスト及びスピーキングのテストを受けます。大抵の場合、語学学校ではTOEIC650点、IELTS 5.5程度から受講できます。受講開始時までに英語レベルが不足している場合には、一般英語コースなどの基礎英語プログラムを必要に応じて1ヶ月またはそれ以上の受講を必要とします。プログラム修了までには早ければ3ヶ月、長くて7ヶ月くらいの期間が見込まれます。
なお、実際に幼稚園などへの実習を含む場合は犯罪経歴証明書の提出が必要になります。
コースの内容
児童英語教授法のコースは学校やコースにより異なります。例として、6週間フルタイムのディプロマプログラムを提供しているカナダの専門カレッジの「TESOL for Children」プログラムのカリキュラムは以下の内容になります。
- こどもの身体・認知・感情的な発達についての学習
- 子供向けのレッスン案・指導計画
- 対象年齢に応じた授業計画の調整
- クラスルームの管理・問題行動への対処
- ゲームを使ってやる気を起こさせ、効果的に教える
- 歌、チャンツ(言語をリズムで覚える学習法)、演劇、絵本、クラフトなどの指導技術
- アクティビティベースと言語ベースのレッスン
- 読み書き・フォニックス・スペリングの指導
- 2週間の実習(オプション)
このプログラムでは、成績が70%以上でディプロマを取得できます。
実習への参加はディプロマ取得の条件になります。料金は2週間の実習を含む合計8週間で約22万円です。
J-SHINEプログラム
J-SHINEは、日本における「小学校での英語教育の普及・発展を支援する」という趣旨のもと、特定非営利活動法人として民間主導で設立された英語教育指導者の資格認定を行うNPO法人です。
J-SHINEプログラムは4-12歳を対象としたプログラムです。現在6種類の資格があり、コース期間や英語力によって資格のグレードが分かれています。
J-SHINEプログラムは、主にオーストラリアやニュージーランドの一部の語学学校で提供されています。通常、コース期間は6-8週間(実習期間を含む)です。プログラム修了後は日本のみになりますが、小学校や民間の英語教室で働くことができます。カリキュラムには児童英語教授法のほか、日本の小学校英語活動に関しての講義も含まれているのが特徴です。
例として、オーストラリアの語学学校で提供されている6週間のフルタイムプログラムの主なカリキュラムは以下のとおりです。
- 言語能力指導: 話す・聞く・読む・書く・語彙・文法・発音
- 授業計画・教室管理
- 歌を使ったプレゼンテーションや練習、クラフト、ゲームの指導、その他のアクティビティ
- 年齢に応じての学習プロセス
- 同僚との練習
- 日本の小学校英語カリキュラム
- 地元の小学校への視察
- 地元の幼稚園でのティーチャーアシスタントとしての現地実習(10日間)
コース終了後には、授業での全体的なパフォーマンス、現地実習、プレゼンテーションの結果を総合的に判断し、サーティフィケートが授与されます。
オーストラリアの語学学校や専門カレッジでは、J-SHINEとTECSOL(Teaching English to Child Speakers of Other Languages)の両方の資格をまとめて取得できる学校があります。
児童英語教授法の資格は、将来教員免許の取得を考えている方や、英語やこどもが好きな方、コミュニケーションが得意な方におすすめの資格です。
英語教授法を学ぶことで自分自身の英語力をさらに高めることができ、可能性をさらに広げることも可能になります。